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遺言書を残すということ

こちらを見て頂いている方の中には「遺言」と聞くと何となく亡くなった方(被相続人)が残された家族(相続人)のために遺産を誰に渡すなどそのような内容を思い浮かべられるかと思われます。

もちろん内容としては間違いではないかと思われますが、日本公証人連合会のホームページに遺言書の意義がこう書かれてあります。

 

「遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ、守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示」(日本公証人連合会ホームページより)

 

 また、遺言がないことにより相続をめぐり、家族間で争いごとが起こることも少なくありません。 私たち兄弟は強い絆で結ばれているから絶対にそんなことはない、とは言えないということです。

 そういう話をすると、「じゃあ、生きているうちにお金は使ってしまわなんいかんね(熊本弁?)」と言われる人もおられます。

そうではなく、日本公証人連合会の遺言の意義を確認すると、自分が生涯をかけて築き、かつ、守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示」とあります。

 やはり自分が生きてきた証(財産や想い)をしっかり引き継いでもらいたい「バトンタッチ(継承)」を行う重要な作業(被相続人にとって)と解釈することもできるでしょう。

 

 遺言書の内容は自分自身の引き継ぎ書とも考えてもよいのかもしれません。

 

 遺言書がない場合は、法定相続分が定められてますが、実際は遺産分割協議を行い遺産の帰属を決めなくてはなりません。

 

 しかし遺言で、例えば、妻には自宅と●万円、長男にはマンションと●万円、二男には別荘と●万円といったように具体的に決めておけば、遺言に基づいて相続手続をスムーズに行うことができることから、争いを未然に防ぐことができるわけです。

 配偶者、子(代襲相続人)、直系尊属(被相続人の父母、祖父母)には遺留分というものがあり、それを侵害する内容の遺言については遺留分侵害額請求を請求することができますが、相続人が被相続人の意思を尊重して遺留分の主張を思いとどまる場合も実際にございます。

 

 自分には大した財産はないから遺言書は必要ないと思われる方もいらっしゃると思われますが、遺言書を通じて意思表示をすることが残されたご家族(相続人)への最後の作業であり、本人(被相続人)の意思の実現につながることでもあるのです。